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コンチネンタルGT3パイクスピーク – テクニカルデータ公開
  • コンチネンタルGT3パイクスピークが動力性能テストを実施
  • レースエンジンで再生可能燃料を利用した実証実験を完了
  • テストで最高出力750bhp以上、最大トルク1,000Nm 以上の改良型4リッターターボV8エンジン
  • 標準のコンチネンタルGT3に比べダウンフォースを30%向上
  • 改良型のシャシー、水冷式ブレーキ、3Dプリントのパーツ
  • パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムでの3冠を目指す
  • 2018年と2019年の市販SUV部門、市販車部門での優勝に続き、タイムアタック1の記録を目指す
  • GT3のカスタマーチームであるFASTRと共同で開発
  • パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは2021627日に開催

ベントレーのコンチネンタルGT3パイクスピークは、3回の動的テストセッションと再生可能燃料エンジンの開発を終え、世界で最も過酷で有名なヒルクライムに向け、最終調整を行っています。

ベントレー史上最も過激なロードゴーイングカーであるこの車は、持続可能なラグジュアリーモビリティのリーディングカンパニーになるという野心的で革新的な「ビヨンド100戦略」のもう一つの柱を体現するものです。

コンチネンタルGT3パイクスピークは、再生可能燃料で6月27日のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに挑戦しますが、これはベントレーの再生可能燃料に関する研究開発プログラムの先駆けとなるものであり、今後ベントレーは電動化プログラムと並行して再生可能燃料をお客様に提供することを目指しています。電動化と再生可能燃料という2本立ての戦略によって、「ビヨンド100」戦略の一環として完全なカーボンニュートラルの実現に向けた進歩のペースを最大化していきます。

コンチネンタルGT3パイクスピーク - 技術的詳細
コースは海抜9,300フィートからスタートし14,100フィートまで登りますが、頂上では空気の密度が平均的な標高と比べ3分の1になります。この環境に合わせるため、コンチネンタルGT3パイクスピークは、エアロダイナミクスパッケージ、シャシー、エンジンに関し、コンチネンタルGTにおいてだけでなくベントレーのロードカー史上最も過激な仕様となっています。

エンジンは、レースで実績のある4リッターターボV8ロードカーエンジンをベースにしていますが、平均的な標高におけるテストで最高出力750bhp以上、最大トルク1,000Nm 以上、レースではさらにハイパワーで走れるよう徹底的に改良されています。新しいピストンとコンロッドを採用し、追加のブースト圧(2.2bar以上)によるパワーに対応しています。同様の理由で、カーボンファイバーのインテークマニホールドも、標準仕様と比べより厚く強固になっています。カスタム仕様のワンオフのチタン製エキゾーストマニホールドがアクラポビッチ社によって3Dプリントで製作され、フロントホイールの後ろから出る非常に短いエキゾーストと専用スクリーマーパイプに接続する外部ウェストゲートを備えた大径ターボへとつながります。

エンジンは98RON再生可能レーシング燃料で走ります。この燃料は、モータースポーツ用に特別に設計された先進的なバイオ燃料を専用にブレンドしたもので、温室効果ガスを最大85%削減できる持続可能な方法で作られたe-fuelへの技術的な足がかりとなるものです。

ハイパフォーマンスなエンジンにはより高性能な冷却システムが必要なため、エンジニアリングチームはパイクスピークのために車両後部に設置される二次冷却システムを開発しました。リアウインドウの代わりにエアスクープを設置し、セカンダリラジエーターに空気を送り込み、トランクリッドのダクトから排気します。このシステムは、専用のセカンダリーウォーターポンプによって作動します。

ギアボックスはベントレーの標準的なレーシングユニットで、トルク負荷に耐えられるように設計されていますが、より耐久性を高めるためにリアドライブシャフトの直径を大きくしています。ギアボックスには、エンジンにも高性能オイルを供給しているモービル1がこの車のために特別に開発したオイルが使われています。

シャシーは、パイクスピークのコース特性に合わせて設定・調整されています。前後のアクスルは、標準的なコンチネンタルGT3のセットアップよりも大幅にキャンバー角を減らし、低速でのコーナリング性能に重点を置いています。ベントレーの製品の中で最もソフトなスプリングとアンチロールバーが装着されており、ボディの動きをより大きくして、ブレーキ時の加重移動を最大限にしています。ブレーキ自体は水冷式で、コース上での全開のアタックがもたらす負荷の増加に対応しています。

空力面では、最初の走行セッションで確認された標準車の前後の空力バランスを維持しつつ、平均標高におけるダウンフォースを全体的に30%向上させました。トランスアクスルギアボックスを取り囲む高性能のリアディフューザーの上には、ベントレー史上最も大きなリアウィングが取り付けられています。前後の空力バランスを維持するために、これらの装置は、フロントの2つのプレーンスプリッターとその横に備えられたダイブプレーンからなる、包括的なフロントエンドのエアロダイナミクスパッケージと組み合わされています。これらの部品の大部分は、クルーの工場でラピッドプロトタイプ技術を用いたカーボンナイロンフィラメントで作られています。

カラーリングもレース仕様で、英国でこの車を走らせているロジャー・クラーク・モータースポーツの黒と金のテーマと、今までパイクスピークに出場したベンテイガとコンチネンタルGTにも採用された一目でわかるベントレーのパイクスピークマウンテンのグラフィックを組み合わています。

三冠達成のための特別なチーム
3冠達成を目標とするベントレーのパイクスピークプロジェクトは、コンチネンタルGT3のカスタマーチームであるFASTRと共同で進められています。FATSRはベントレーのレースカーで国内の様々なタイムアタック競技で成功を重ねているチームです。コンチネンタルGT3パッケージのから最大のパフォーマンスを引き出すため、ベントレーとFASTRのテクニカルチームはカンブリア州のM-スポーツのスペシャリストと協力しており、このチームでコロラド州でテストを重ねます。

2つのテストプログラムを並行して行い、ここ数週間で有望な結果が得ることができました。コンチネンタルGT3パイクスピークは、アメリカに到着するとすぐにウィロー・スプリングスでシャシーのセットアップ開発テストを2回実施しました。その後、コロラド州アスペンでエンジン性能とキャリブレーションに焦点を当てた高地テストが行われました。一方、カンブリア州にあるM-スポーツの拠点では、開発用エンジンが高負荷テストベッドで試され、ベントレーがこのイベントのために選んだ再生可能燃料の性能の評価をしましたが、、パワフルで信頼性が高いとの結果を得ることができました。

記録を更新するためには、156のコーナーを含む高低差約5,000フィートのコースを平均78mph(約125km/h)以上の速度で駆け上がり、9分36秒以内にフィニッシュラインを通過しなければなりません。ベントレーは、パイクスピークで3度の優勝経験を持つ元「キング・オブ・ザ・マウンテン」であり、ベントレーの過去の2度の優勝―2018年のベンテイガW12による市販SUV部門での優勝と2019年のコンチネンタルGTによる市販車部門での優勝―をともに成し遂げたリース・ミレン(ニュージーランド)に再びドライビングの協力を依頼しました。

コンチネンタルGT3パイクスピークは、6月27日に開催される第99回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに向け、今後2週間、最終テスト及び改良を続けます。