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ミュルザンヌ – 「グランドベントレー」の歴史
  • ベントレー ミュルザンヌは、究極のラグジュアリーセダンを改めて定義するための4年間の開発プログラムを経て2009年に初めて導入されました
  • 元々はキンバリーのダイヤモンドにちなんで発足した「プロジェクト キンバリー」でした
  • ミュルザンヌは、スピード、エクステンデッド ホイールベースを含む3つのバリエーションに発展しました
  • 最初から最後まで、手作りで製造するのに要する時間は、一台ごとに400時間以上です
  • 2017年に独特のデザインを改訂しました
  • 1959年に初めて導入され、以来開発され続けた有名な「Lシリーズ」75リットルV8エンジンを搭載しています
  • ベントレーのフラッグシップとしての10年間の足跡は、マリナーの手による75エディションで頂点に達します
  • 2009年以降、7,300台を超えるミュルザンヌが多くの有名顧客の元に届けられました
  • ミュルザンヌおよびその象徴的なエンジンは4月に生産を終了します

ベントレー ミュルザンヌは4月下旬に生産を終了し、ベントレーのフラッグシップとしての地位を新型フライングスパーに引き継ぎます。これにより、世界最高峰のラグジュアリーセダンとしての10年間に終わりを告げます。

ミュルザンヌの開発作業は2005年に始まり、ベントレーデザインのスタジオで最初のデザインコンセプトが書き起こされました。その車両は、ホイールをはじめ、ベントレーのボディショップにおいて手作業で作られるエクステリアデザイン、新開発される象徴的な6.75リットルV8ツインターボエンジン、完全に刷新される電装系、新開発のシャシーなど、インテリアもエクステリアも、過去の偉大なベントレーに敬意を払いながらも最新のデザインを採り入れたまったく新しいものとなる予定でした。「グランドベントレー」というその位置付けが公開され、社内的には「プロジェクト キンバリー」と呼ばれた「ミュルザンヌ」は、2009年に導入されました。ミュルザンヌの世界デビューはその年の「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」と決まり、ラグジュアリーの定義を書き換えるグランドツーリングセダンの姿が明らかになりました。

スチール製モノコックにアルミニウム製のドア、フェンダー、ボンネットで構成され、曲線的で逞しいデザインが施されたこの車両のエレガントなフォルムは、スーパーフォーミングと呼ばれる高度な工法を使用して作成されています。このプロセスでは、アルミ製パネルを500°Cに加熱し、空気圧をかけて成形します。

最高出力512PS、最大トルク1,020Nmを発生する排気量6.75リットルのV8エンジンは、0〜60mph加速を5.1秒(0〜100km/h加速は5.3秒)で駆け抜け、最高速度は184mph(296km/h)を実現しました。このエンジンは、初めて可変バルブタイミングシステム、気筒休止システムを採用し、ほとんどの最新型自動車用エンジンのアイドリング回転数をわずかに上回る1,750rpmのエンジン回転数で最大トルクに達するトルク特性を実現しました。また、軽量化と強化の目的で鍛造クランクシャフトからピストン、コネクティングロッドに至るすべての主要コンポーネントを再設計して内部負荷および摩擦を低減し、エンジンの応答性を向上させました。

新型「ミュルザンヌ」は100色以上のエクステリアカラー、24色のハイドカラー、9種類のベニヤを用意して、これまで自動車業界ではなかったほど多くの選択肢をお客様に提供しました。

ミュルザンヌは、英国クルーにおいて最初から最後まで手作業で製造され、その生産に要する400時間を超える旅はホワイトボディの製造工程から始まります。ここでは、熟練した金属加工担当者が自らの手と目を使って、5,800箇所の溶接部を丁寧に仕上げます。

ルーフからDピラーを通ってリアハンチに流れ込む箇所では、専任のチームが接合部分を手作業でろう付けします。この個所を仕上げるには人間の手による感触が重要であり、塗装してしまえば接合部は完全にわからなくなり、その見た目も感触も、まるで金属の塊から削り出されたようにさえ思えるほどです。

ミュルザンヌのボディを塗装する際は、その彫刻的な姿が均一に見えるように、異なる厚みを持たせる必要があり、そのために一台一台手作業で塗料を吹き付けています。仕上げ塗装の後、各車両は12時間をかけてきめ細かい研磨剤で研磨され、その後子羊の毛で磨きをかけ、自動車業界のベンチマークとして「ベントレーミラーフィニッシュ」と呼ばれる鏡のような外観を実現します。これを、自動車業界でも唯一の、手作業で完璧に磨きをかけて仕上げられたソリッドステンレススチール製ブライトウェアが補完します。

このベントレーのフラッグシップのドアを開けると、ウォールナット、チェリー、またはオークの無垢材によるドアウエストレールや、さらに選び抜かれた各種のベニヤが追い打ちをかけるように素性の良さを伝えてきます。最後の選択プロセスはクルーで行われ、ここで最終的に職人が命を吹き込むベニヤを選んで完成させます。こうした装飾は、ミラーマッチ(左右対称に配置)され、無垢材の下地として採用される前に、極めて美しい「模様のある」部位(自然にできた装飾的紋様を持つ部分)のみが選びだされます。

ミュルザンヌの製造に必要な400時間のうち、追加のオプションを検討する前の約150時間は、手作業での縫製、成形、仕上げによる豪華なレザーインテリアのためだけに費やされます。コントラストステッチを仕上げるだけでも、37時間を要します。

2012マリナー ドライビング スペシフィケーション
成功裏に終えたスコットランドでのメディア公開の後、2年間の好調なセールスを経て、2012年にミュルザンヌの最初のアップグレードモデルが発売されました。同年、ベントレーはジュネーブショーにおいて、極めて独特かつスポーティな解釈を加えた新型「ミュルザンヌ マリナー ドライビング スペシフィケーション」を発表しました。専用21インチアロイホイール、ベントレー フライング「B」ウィングベント、さらにダイヤモンドキルティングレザートリムを誂えたキャビンなど一連の印象的なデザイン装備品と、新たに採用されたドライバーが選択可能なスポーツチューンドサスペンションやステアリングにもマッチし、ミュルザンヌのパフォーマンスや資質をより強くアピールしていました。このとき同時に、ベントレーはミュルザンヌに、大きな開口部を持つチルトオープン式ティンテッドガラスサンルーフ、および手吹きガラス製でハンドカットされたクリスタルシャンパンフルート付きで繊細なデザインが施された電気式ボトルクーラーという2つの新しいオプションの導入も発表しました。

2014グランド コンバーチブル コンセプト世界で最もエレガントなコンバーチブル
ベントレーがこれまで生み出してきた車両の中で最も洗練されたオープントップ コンセプトである「ベントレー グランド コンバーチブル」は、英国製自動車におけるラグジュアリーを究極的に表現する車両としてイメージしたものでした。アイコニック(象徴的)でありながら控えめなスタイルを持ち、極めて上質なマテリアルを用いてすべてを手作業で仕立てられたこの比類ないラグジュアリーフラッグシップは、究極の力強さと官能的なオープントップ モーターリングを表現していました。リアトノーそれ自体が、ベントレーが誇る最高のクラフツマンシップを最も顕著に示す一例です。完璧なブックマッチ加工(はぎ合わせ)、鏡面仕上げが施され、ダークステイン処理されたバーウォールナット製トノーは、ベントレーがこれまで使用してきたウッドベニヤの中で最も大きい部材を使用していました。このグランド コンバーチブルはコンセプトモデルとしてのみ発表されたものですが、この車両を作る上で学んだ教訓は、ミュルザンヌファミリーの発展に影響を与え続けました。

2015世界最速の超高級車によるドライビング エクスペリエンス
2015年、ベントレーは、世界最速の超高級車によるドライビング エクスペリエンスを提供する新型「ミュルザンヌ スピード」を発売しました。このモデルに搭載される改良型エンジンは、最高出力537PSおよび最大トルク1,100Nmを発生し、ドライバー重視のセレクタブルスポーツサスペンションとステアリングを備えていました。

パワートレインには引き続きベントレー製のパワフルな6.75リットルツインターボV8エンジンを改良して搭載しており、0-60mph加速性能値は4.8秒(0-100km/hは4.9秒)、最高速度は190mph(305km/h)に達していました。現代版ベントレーの習わしとして、効率性能も大幅に改善され、その結果、航続距離が13%(距離にして80km)増加して368マイル(593km)となりました。

最新かつ現代的なスタイリング装備品により、ミュルザンヌ スピードは典型的なブリティッシュ ラグジュアリーを表現していました。上質なマテリアル、比類ないクラフツマンシップ、精巧にハンドクラフトされたディテールのもと、数々の車載テクノロジーやコネクティビティが控え目に統合されました。ラジエターグリル、ロアバンパーグリル、ウィングベントといったエクステリアのステンレススチール製マトリックスグリルには、自動車産業では稀な工法によるダークティント仕上げが施され、ダークティント仕様のヘッドライトとテールライトにマッチする美しい仕上がりとなりました。

ミュルザンヌ スピードには、ベントレーで初めて、ボディの右側用と左側用でデザインが異なるディレクショナルスタイルホイール(回転方向指定ホイール)も採用しました。この21インチホイールは、手作業での仕上げの前に鍛造ソリッドブランクからひとつひとつマシニング加工され、オプションでペイント仕上げ、ポリッシュ仕上げの他、アクセントの仕様に合わせたダークティント仕上げも可能となりました。

2016ミュルザンヌ グランド リムジン バイ マリナー
プライベートカスタマー向けにデザインされ、手作業で製造された「ミュルザンヌ グランド リムジン バイ マリナー」は、現代のコーチビルドカーにおける稀有な一例です。このモデルは、ミュルザンヌのホイールベースとボディを1,000mm増やし、後席のヘッドルームを79mm拡大して、乗員に他では得ることのできない体験を提供していました。古典的な「ストレッチされた」リムジンとは異なり、追加された部分はミュルザンヌの巧みなラインと審美的な純度を維持するため念入りにデザインされました。その結果、世界で最も長いメーカー製リムジンが生まれ、その形状はホイールベースの長さに美しく適合していました。

ミュルザンヌ グランド リムジンは、4つのシートすべてが同等の快適さを備えるという目的で設計されました。室内の配置は豪華なプライベート航空機に触発されたもので、リアキャビンには2名用のシートが向かい合う形で2組備えられ、乗員が対面して話すことができました。

特別仕様のヒーター、ベンチレーション、エア・コンディショニング(HVAC)システムは、ベントレーのマリナー部門がミュルザンヌ グランド リムジンのために特別に設計、製造したものです。2つのゾーンを別々に設定できるため、後部座席の乗員が自分の好みに合わせて調節できました。

さらに、アップル製iPadを充電するためのハンドメイドのドッキングステーションやドライバーと通話するためのインターコムシステムなど、多くの特注デジタル装備品が用意されていました。フロントシートとリアの間のインテリアの仕切りには、ベントレーで初めて実装されるエレクトロクロミック式「スマートガラス」を装備しました。ボタンに触れるだけでパネル全体が透明から不透明に切り替えることができ、完全なプライバシーを確保できました。

2016新型ミュルザンヌおよびミュルザンヌ エクステンデッド ホイールベース
2016年、ジュネーブにおいて、まったく新しいミュルザンヌ ファミリーがデビューしました。このとき初めて、ミュルザンヌ ファミリーに、すべてにおいて独自の能力や属性を備えた3つのモデルが用意されました。「ミュルザンヌ」、「ミュルザンヌ スピード」、および「ミュルザンヌ エクステンデッド ホイールベース」は、すべてベントレーの比類ないレベルで細部にわたるクラフツマンシップへのこだわりを共有しており、同時に個々の顧客のニーズに応えています。

新型「ミュルザンヌ エクステンデッド ホイールベース」は、後部座席の乗員を念頭に置いて開発されました。追加された250mmの後席レッグルーム、旅客機のような引き延ばしが可能なレッグレスト、リアコンパートメントサンルーフを組み合わせ、世界で最もリラックスできる車内環境を作り出しました。

一連のスタイリングの見直しにより、新型ミュルザンヌは先行モデルよりも上品さが増しました。Aピラーより前のフロントエンド全体のスタイルは、完全に再設計されました。フェンダー、ボンネット、ラジエターシェル、グリル、ライトの他、前後のバンパーがすべて変更され、よりモダンで統一感のある外観になりました。新しくなったフロントエンドは、1930年代の8リットルモデル、エンビリコスやRタイプ コンチネンタルなど、過去の偉大なモデルを称賛するように、先代よりも80mm幅が広く、大きくなったステンレス製バーチカルベーングリルが印象的となっていました。この垂直方向に配されたベーンを通して、ベントレーマトリックスグリルが覗き見えました。まったく新しくなったヘッドランプは、走行条件に応じて4つのモードで投光パターンを自動的に調整できました。

新型ミュルザンヌの室内には、再設計されたシート、新しいドアトリムとアームレスト、そしてユニークなガラス製スイッチ類も備わりました。新型ミュルザンヌは、クラス最高のナビゲーションテクノロジーを誇る、まったく新たなインフォテインメントシステムを搭載しました。また、走行中のオーディオおよびビジュアルエンターテイメントの水準を引き上げる、車載インフォテイメントシステムの数々を用意しました。

ミュルザンヌの並外れたパワーとトルクは、アクティブエンジンマウントおよびサスペンションブッシュなど、新採用されたシャシーハードウェアによって補完されていました。定評ある静かな乗り心地をさらに向上させるため、ベントレーはミュルザンヌのタイヤに最新の騒音吸収テクノロジーを組み込みました。この発泡素材による優れた構造は、室内に伝わるノイズを最大4dBA低減させ、比類ないレベルの乗り心地を提供しました。

2019 – ミュルザンヌW.O.エディション創業100周年記念
「ミュルザンヌW.O.エディション バイ マリナー」は、ベントレーの創業者に敬意を表し、すべての個体にベントレーの歴史の一部を成した実物が添えられていました。100台限定のこのミュルザンヌの室内には、数十年前にW.O.ベントレー本人が所有していた8リットルモデル(1930年に彼がベントレー・モーターズで最後にデザインしたモデル)に搭載されていたオリジナルのクランクシャフトから切り出した薄片が飾られました。

ミュルザンヌW.O.エディションは、顧客の好みに応じてミュルザンヌの3つのモデルバリエーションのいずれかを指定することができました。主な装備として、ヴィンテージカーの風格を反映したヘリテージハイドのカラースプリットインテリア、エレガントなベルーガブラックのホイール、そしてアームレストに組み込まれたW.O.自身の所有した8リットルモデルのクランクシャフトから切り出した薄片が飾られた素晴らしいカクテルキャビネットまたはボトルクーラーなどが用意されました。

このモデルはたちまち完売となりました。

2020 – ミュルザンヌ6.75エディション当然の賛辞
マリナー部門が丹精込めて製造する「ミュルザンヌ6.75エディション バイ マリナー」は、わずか30台のみの限定生産となっており、英国の自動車技術とクラフツマンシップが誇るこの傑作を見送るにふさわしい仕上がりとなっています。この車両は伝説的な6¾リットルエンジンに敬意を払って名付けられており、搭載されているエンジンは、今年、量産開始から60年目を迎えます。

エンジンオイルキャップを模したノブが付いた「オルガンストップ」ベンチレーションコントロールなど、このクルマの至る所に6¾リットルV8エンジンに対するモチーフが見られます。シートには特製の6.75エディションをモチーフにした刺繍が施され、エクステリアやエンジンルームのクロームバッジにも同様のエンブレムが装着されています。また、LEDウェルカムランプからもこの同じロゴが投影されます。時計およびマイナーゲージのダイヤル表面には、エンジン断面のイラストが描かれています。